ポイント
決算書は、1年間の経営内容・成績を表す総まとめとして、いわば社長の「通信簿」ともいわれ、企業にとって重要な意味があります。
1. 社長の意思が決算に反映されます!
通常、決算というと、商法や税法などで要請されている1年単位のものをいいます。けれども、業績をリアルタイムに把握し適切に対策を講じて経営に生かしていくには、1年単位ではなく月単位あるいは10日単位などで決算を行うケースもあります。
たとえば、月次で決算を行う企業では、月末で締めて、売上げはどれくらいで仕入や費用はどのくらいかかったか、利益は出たか、といったことを予算と対比しながら毎月チェックすることができ、早めに対策を講じることができます。
2. 決算事務のポイント
決算では、次の事項を必ず実施して漏れのないようにしましょう。
- 決算は、税務署や銀行などのために行うものではなく、自社のために行うものだということを理解しておきましょう。
- 期末日には必ず実地たな卸をしましょう。
○実地たな卸は実際に現物にあたって数量を数えます。倉庫に預けているものや輸送途中のもの、仕掛品などは見落としがちですので注意して下さい。
○締め後の売上げ・仕入等についても早急に確認します。
○切手や収入印紙などの金券もきちんとたな卸しておきます。
○実地たな卸したときに記入した用紙は必ず保存しておきましょう。
- 期末日現在の現金残高を確認しましょう。
○金種別に実査し、現金出納帳の残高と実際の有り高とが一致しているかどうかを確認します。
- 期末日現在の預金や借入金、割引手形の残高を確認しましょう。
○取引銀行などから期末日現在の預金等の残高証明書を入手します。
- 長期間回収のないものをどうするのか検討しましょう。
○仮払金や前渡し金等を確認し、清算できるものは早急に清算します。
- 売掛金の残高を確認しましょう。
○売掛金残高確認書を各得意先に送付して売掛金の残高を確認しましょう。
- 負債について確認しましょう。
○期末日現在の未払金については、仕入先等から請求書を漏れなく早めにもらいます。その他負債があれば確認しておきます。
- 決算締め後、早めに売上げを確定しましょう。
- 会社所有の資産を確認しましょう。
○会社所有の株券などの有価証券やゴルフ会員権などの資産について、実際に確認しておきましょう。
- 今期のすべての書類をダンボール箱などに整理してまとめておきましょう。
3. 決算書が金利に直結!!
- 中小企業の格付け・債務者区分(一例)
格付けは、10項目から15項目にランク分けされているようで、各銀行によって多少異なります。
「債務者区分」については、金融庁による金融検査マニュアルでそれぞれ規定されています。
@正常先 |
業況が良好で、かつ財務内容に問題がない債務者 |
A要注意先 |
貸出条件や返済などの状況、あるいは業況や財務内容に問題があり、今後注意を要する債務者 |
要管理債権先 |
要注意先のうち、要管理債権(元本や利息の支払いが3ヵ月以上延滞している債権など)のある債務者 |
B破綻懸念先 |
経営難の状態で、経営改善計画等の進捗状況が芳しくなく、今後、経営破綻に陥る可能性が大きい債務者 |
C実質破綻先 |
法的・形式的には経営破綻になっていないものの、深刻な経営難の状態にあり、再建の見通しがなく実質的に経営破綻に陥っている債務者 |
D破綻先 |
法的・形式的な経営破綻の事実が発生している債務者 |
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