(具体例)
運送業を営んでいます。昨年12月に業務中に事故を起こしてしまい、被害者に医療費として15万円を支払いました。今年になり示談が成立し、損害賠償金として115万円を支払うことになりました。この中には、昨年支払った15万円が含まれています。支払方法は、本年中に60万円、来年1月に40万円を支払うことになっています。
この場合、損害賠償金はいつの時点で必要経費にしたらよいのですか?
アドバイス
昨年支払った15万円については、損害賠償金として具体的に提示した金額なら、昨年の必要経費になります。残額は、示談が成立した今年の必要経費になります。
必要経費にできるものについて
業務上の費用で、必要経費にできるのは、別段の定めと償却費を除き、その年に債務の確定しているものに限られます。
債務の確定しているものについて
原則として、次のすべてに当てはまるものとされています。
- その年の12月31日までに、その費用に係る債務が成立していること。
- その年の12月31日までに、その債務に基いて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること。
- その年の12月31日までに、その金額を合理的に算定することができるものであること。
年の途中で死亡したり出国した場合について
死亡、出国の時に債務が確定します。
損害賠償金等の総額が確定していない場合について
その場合でも、その年の12月31日までに相手方に申し出た金額 ※ については、債務の確定があるものとして、その年の必要経費にできることになっています。
※保険金等で補てんされることが明らかな部分は除きます。
従って、質問の場合、昨年支払った15万円が損害賠償金として具体的に提示した金額であれば、昨年の必要経費になります。また、残額については、示談が成立した本年の必要経費になります。
仮に損害賠償金を年金として支払う場合は、これを支払う年の必要経費にします。
消費税については、心身や資産に加えられた損害の発生による損害賠償金は、課税仕入れにはなりません。
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