(具体例)
昨年12月に事業を廃止しました。その後、店舗として使用していたものを本年から貸し付けています。
この場合、廃業した年分の事業税を賦課決定のあった本年の不動産所得の必要経費にできますか?
アドバイス
事業税を本年分の不動産所得の必要経費にはできません。
質問の場合、課税見込額を、廃業した昨年の所得の必要経費にできます。また、この計算をしなかった場合には、更正の請求ができます。
事業税はいつ必要経費にしたらよいかについて
各種所得の計算で、必要経費にする国税と地方税はその年の12月31日までに申告、更正・決定、賦課決定により、納付すべきことが具体的に確定したものとされています。
従って、事業税も都道府県からの賦課決定があった年の必要経費になります。
廃業した昨年分の事業税について
事業税が具体的に確定する本年には事業を廃止しているので、本年分の必要経費にはできません。
また、貸店舗からの収入は不動産所得であり、所得区分が異なりますので必要経費にはできません。
従って、このような場合には、事業税の課税見込額を昨年の所得の必要経費にすることができることになっています。
事業税の課税見込額の計算について
次の算式により計算します。
{ (A±B)×R } ÷ (1+R)
A・・・事業税の課税見込額を控除する前の廃業年分の事業所得
B・・・事業税の課税標準の計算上、Aに加算したり減算する金額
R・・・事業税の税率
課税見込額を控除しなかった場合について
廃業年分の事業税の納付が確定した時に、事業を廃止した昨年分の事業所得の金額から控除できます。
この場合は、所得税法にある「各種所得の金額に異動が生じた場合の更正の請求の特例」により、更正の請求ができます。
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