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貸し渋り・貸し剥がし対策:「企業格付け」アップ作戦! Q&A

1. 中小企業の現状と金融情勢

Q02. なぜ「貸し渋り」「貸し剥がし」がおこっているのですか?(2003.11.5)

金融機関の審査方法が大きく変わったことが原因だと考えられます。

従来、金融機関の審査は、貸出実績、担保、地元・業界での評判等を加味して行われていたので、企業の経営者は銀行の貸出決定の根拠をある程度予想できましたよね?

でも、最近なんだか変わったなとお気づきではないですか?

実は最近は、「企業格付け」を重視した貸付審査を行う体制へと大きく変化しているのです。

この点が、銀行に対する不安と不信を招き、「貸し渋り」「貸し剥がし」問題が生じる原因の一つになっていると考えられるのです。

では、このような金融機関の変化はどうして生じたのでしょうか?
これは、(1)金融ビッグバン→(2)早期是正措置→(3)融資企業の選別化・格付化→貸し渋り・貸し剥がしの原因の一つ、という流れのなかで生じたと考えられるのです・・・
以前結構騒がれましたので、ご存知の方も多いことと思いますが、ここで少しおさらいしてみましょう。

(1)金融ビッグバンとは

 ○自由競争になることです。これは、具体的には、
  • フリーに!(市場原理が働く自由な市場に)
  • フェアに!(透明で信頼できる市場に)
  • グローバルに!(国際的で時代を先取りする市場に)といったことでした…
 ○「BIS規制」を満たすことが求められました。
  • 平成10年4月から発行されていますよね。
  • 国際決済銀行の「自己資本比率基準」(国際統一基準)を8%以上にするということでした。
※「BIS規制」とは・・・Bank for international Settlements の略です。

 ○「新BIS規制」第三次案で中小企業融資を奨励しました(2003年4月に発表されています)
    内容としては、
  • 中小企業融資向け与信はリスク度合いが低く、信用力が大きい。
  • 大企業に融資をするよりも、銀行にとっては自己資本比率の計算上有利になる…。といったものでした。
(2)早期是正措置とは

 ○早期是正措置で金融機関は次のことが求められました。
  • 海外業務を行う場合は、自己資本比率8%以上
  • 国内業務を行う場合は、自己資本比率4%以上この基準を下回ると是正措置がとらました。
この措置をサッカーに例えてみましょう。
是正措置の概要 銀行の自己資本比率 サッカーに例えると
海外業務を扱えます 8%以上 ワールドカップ
国内業務だけを扱えます 4%以上 Jリーグ
個別措置の実施命令 海外業務を扱う銀行で4%未満
国内業務だけを扱う銀行で2%未満
イエローカード
業務の一部または全部の停止命令 0%未満(債務超過の状態です…) レッドカード!


(3)融資企業の選別化・格付化

 ○銀行の自己資本比率を引き下げないためには……

  • 健全な資産の確保をしなくてはいけません。
  • リスク・ウェートの有利な貸出の推進をしなくてはいけません。

これにより、融資チェックリストによる継続的な融資先の選別がはじまり、「企業格付け」(レイティング)が行われるようになったのです!

(4)貸し渋り・貸し剥がしの原因の一つ

 ○銀行の自己資本比率を高めるためにはどうしたらよいと思いますか?

自己資本比率=自己資本比率/総資産
貸借対照表
総資産 負債
自己資本
ですから、分子の自己資本を大きくするか、総資産を小さくするかしかありませんよね。
これには、3つの方法が考えられます。
  1. 利益を出す・・・これは株価下落や不良債権処理の問題からちょっとムリですよね
  2. 増資する・・・公的資金を入れればどうですかね?
  3. 税効果会計による自己資本の積み上げは?

銀行の総資産のほとんどが貸出金なので、総資産を小さくするために貸し渋り・貸し剥がしが生じることがあるのです…

おわかりいただけましたか?


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